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『声に出して読みたい日本語』『大人の語彙力ノート』など多数の著書で知られる齋藤孝さんの新刊です。
中高年の「不機嫌」がこれからの日本にとっての障害になっていくことを危惧し、そういったキレやすく横柄になった中高年のさまを「リア王症候群(シンドローム)」と名付け警鐘を鳴らし、それを回避する方法を説く一冊。
-目次-
第1章 リア王症候群(シンドローム)とは何か?
第2章 自分の中の「リア王」を探せ ~街・職場・家庭で見つけた「リア王症候群(シンドローム)」の処方箋~
第3章 脱リア王・愛されるおじさんになるための10カ条
第4章 上機嫌なヒト図鑑 ~一流の人は皆上機嫌~
第5章 リア王オヤジに効くエンタメサプリ
リア王症候群とは何か
第1章は、著者の造語である「リア王症候群」についての解説がメインです。
著者は「ピーターパン・シンドローム」という言葉に出会ったことで自分もそれにあてはまるんだと自覚したことがあるそうです。
その自身の経験から、まずは「リア王症候群」という言葉を定義してその内容を知ることが、この症候群を回避する第一歩だと提案する章です。
つまり、自覚化するということ、自分の姿を客観的に見られるということが、コントロールの第一歩なのです。症状というか、自らの姿に気が付くと修正ができるのです。気付かない人は、結局治せないということになります。
全体的にリア王をこき下ろしているようで、読んでいて「確かに、こうはなりたくないもんだ」と思うに十分な内容です。
リア王度チェック
第2章は、「オレは客だオヤジ」「根性論オヤジ」「自惚れオヤジ」など「リア王症候群」の症状23パターンを挙げ、自分が当てはまっていないかチェックし、当てはまるならそれを自覚して改善の必要性を感じてくれ、という章です。
「リア王症候群」という耳慣れない言葉ですが、既存の言葉でいえば「老害」が一番近いと思います。
23パターンのほとんどが「あー、こういう老害オヤジいるわー」と思うもので、思わず苦笑してしまいました。
自分に当てはまるものも1つくらいないかと探してみると、予備軍くらいにはなっているかもと思うものが3つくらいありました。
「昔語りオヤジ」あたり危ないかも・・・
リア王症候群を回避・改善するために
第3章は、「中高年の不機嫌が日本の障害になっていく」という主張に改めて触れ、実際に不機嫌でなくても不機嫌に見えるだけでも問題なのだと述べた上で、リア王症候群を回避あるいは改善する10の方法を解説しています。
どれもすでにリア王症候群になっている人やその予備軍には実践が難しいんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょう。例えば3番目の「過去の肩書を捨てる」は、感情的にできない老害は多そうな気がします。
しかし、キレやすい自分を自覚できれば感情のコントロールも利かせられるようになるというのが著者の主張で、そのための第1章、第2章だということでしょう。
僕も、愛されるおじさんとまでは言わないけど、あまり嫌われないおっさんではいたいと願うひとりです。
この章の10の方法を自然に実践していければいいですね。
8番目の「愛されるおじさんファッション」に、こう書いてあります。
とりあえずのブランドを決めて、そのブランドで統一することです。海外の高級ブランドでなくても、そこそこの間違いがないブランドでそろえておけば、独自のオシャレではないにしても、おじさんらしい安定感が出ます。
これユニクロでも大丈夫ですかね。
「アフター」の見本
第4章は、本書の処方箋を実践して「不機嫌」を取り払い「脱リア王」に成功すると、こういう人たちに近づけますよという内容。
「ビフォー・アフター」のアフターを示している章とも言えます。
上機嫌かつ知的で見習うべき人物として7人の芸能人が挙げられていますが、上機嫌とか不機嫌とかそういうことよりも、7人それぞれをよく観察している点に感心してしまいます。
リア王につけるクスリ
第5章では、エンタメサプリと称して楽しみながら「リア王オヤジに効く」本や映画を紹介しています。
紹介されているのは、本7冊、映画5作、音楽2、3曲(?)、そして漫画が1作。
残念ながら僕の好みに合うものはありませんでしたw
漫画で紹介されているのが「ゴルゴ13」だけというのは如何なもんか。
まあ、巻数がすごいので他の漫画5作品分くらいのボリュームはあるんだけど。
やや物足りないが、正鵠を射た内容の良書
第1章、2章の「オヤジあるある」ネタの印象が強く、読後にはそこしか印象に残らないという状態に陥りかけました。
個人的には、オヤジが電車の中で若い女性のそばに立ちたがったり、社員旅行がなくなったことを嘆いたり、鼻毛を抜いたりすることがどう「日本の障害」になるのかをもう少し書いてほしかった。
しかし、著者の言うリア王的なオヤジがあまり多くなると、世の中のいろいろな活動の邪魔になることは想像がつきます。
本書の想定読者は中高年の男性ですが、オヤジだけでなく「お局さま」になりかけているオバサンにも、自分が不機嫌で横柄な「リア王」に成り果てていないか自らチェックするために本書を活用することをお勧めします。
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