【書評】『東大読書』は、読書におけるあのアイテム

僕は俗に言う「ファミコン世代」にあたると思います。
『ドラゴンクエスト』でRPG(ロールプレイングゲーム)にハマった1人で、以前はよくプレイしていました。

タイトルでいうと『フィナルファンタジーX』や『魔界戦記ディスガイア』あたりまでなんですけどね。(もう15年も前なのか・・・)
そのどちらにも、1回の戦闘で得られる経験値などが増える「獲得○○アップ」系のアイテムだかスキルだかが出てきます。
レベル上げの効率が上がってその後の冒険を楽に進めることが出来るので、できるだけ早く手に入れたいですよね。

僕はゲーム好きですが、それ以上に「読書」も好きです。
読書は娯楽であると同時に、他者の知識や考え方に触れることで思考力、想像力、創造力が高まるなどの効果がある行為です。
成長につながるという意味で、RPGで戦闘やクエストをこなすことと似ています。
自称読書好きの僕に限らず、どうせ本を読むならその本から少しでも多くのものを得たいと願う人は多いと思います。
そして、そういう人たちにうってつけの「獲得○○アップ」の手段が、読書にもあります。いわゆる「読書術」です。

『東大読書』概要

「読書術」の本は数多く出版されています。Amazonで検索するとこんな感じに大量にヒットします。
僕も何冊か読んだことがありますが、今年の6月に発売された『東大読書』は少々特徴的でした。
著者は、偏差値35から本の読み方を変えることで東大合格を果たしたという現役東大生の西岡壱誠さん。

全体を通して「能動的な読書」がキーワードとなっているんですが、なんというか、少々エクストリームな感じ(?)で、読み終わるまでに何度となく「そこまで読み込みますか」とつぶやきましたw
本を使って(やや強引に)いろんな頭の使い方をすることで地頭力を鍛える、ということのようです。

PART1 地頭が良くなる「東大読書」の5ステップ

本書は大きく2パートに分かれています。
全体の大半を占めるPART1では、次の5つの読み方について解説されています。

STEP 1:読解力を鍛える「仮説作り」
本文を読む前に表紙や帯などから情報を得て、本文の内容を推測する。

STEP 2:論理的思考力を鍛える「取材読み」
ただ漫然と読むのではなく、記者になったつもりで著者に対して質問をしたり、
疑問の残る点を追求したりしながら読み進める。

STEP 3:要約力を鍛える「整理読み」
1章、1節などの区切りごとに、内容を30字以内にまとめて書いてみる。

STEP 4:客観的思考力を鍛える「検証読み」
本を2冊同時に読み進めることで、多面的に考えながら読む。

STEP 5:応用力を鍛える「議論読み」
アウトプットすることを前提にし、自分の言葉で解釈しながら読む。

各章で、それぞれの読み方をすることのメリットと具体的な方法が解説されています。

「仮説作り」「取材読み」が新しい。しかし問題もある。

STEP 1の「仮説作り」とSTEP 2の「取材読み」は今まで読んだ読書術の本にはない手法で、参考になりました。
今までの読書ではしていない頭の使い方をすることで、考える力を高める効果はあるだろうと感じる内容です。

ただ「仮説作り」については、人によっては自分で立てた仮説のせいで妙なバイアスがかかり、「自分の想像する結論」ありきの読み方になってしまわないのか? と思いました。
実践する際は、仮説はあくまで仮説として読み進め、STEP 5で行う「仮説の答え合わせ」を客観的に行うよう注意する必要があるでしょう。

「取材読み」については、
・文章を感情を込めて読むことができるようになる
・感情の「色」がつくことで文章の流れを追いやすくなる
のふたつがその効果であると述べているんですが、こちらも「仮説作り」と同様の問題を感じます。

先入観や偏見をもって物事を見ることを「色眼鏡で見る」と言いますが、この感情の色を付けて読むというところがそれに通じる気がして、どうも引っかかってしまいます。
この読み方で、著者の主張を正しく理解できるんだろうか。
ちょっと遠回しな、解釈の分かれそうな表現があっただけで恣意的解釈が発生して、文意を勘違いしてしまわないんだろうか。
考え過ぎかもしれませんが、その可能性を想像すると「仮説作り」「取材読み」は誰にでも向いている読み方じゃないのかな、という気もします。

PART2 東大流「読むべき本」の探し方

PART 2では主に、読むべき本、得るものが多い本をどう探すかについて書かれています。

1.売れている本・ベストセラー
読むべき本としてまず挙げられているのが「よく売れてベストセラーとなっている本」です。
根拠は以下の3つ。

・世の中の今の空気を知ることが出来る
・往々にして内容について賛否が分かれ、議論を呼ぶ
・次に読むべき本への道しるべとなる

僕も本を選ぶ際には、よく売れている話題の本を選ぶことが多いですが「ハズレが少なそうで無難だから」という理由が多かったです。

2.信頼できる人が薦めている本
次に挙げられているのが「他者が高く評価している本」です。
読んでみて「この本は良い」と思った本のAmazonレビューを見て、自分を同じ感想を持った人を探し、その人の他のレビューをたどり高い評価が付けられている本を読んでみる、というのは、思いつきそうで思いつかない本の選び方だと思いました。

3.時代を超えて読み継がれている古典
最後が「古典」です。

・時代の流れに負けないだけの魅力がある
・「今の考え方」のベースになっている部分が多い

この2点を古典を読むべき理由とし、具体例としてドラッカーの『マネジメント』が挙げられています。
D.カーネギーの『人を動かす』『道は開ける』なんかも、この2点にあてはまる古典的名著でしょう。

総合的にはオススメできる読書法

全体的に感じたのは、内容が具体的であるということです。
具体的なので、実践しやすい。やはり実用書はこうであるべきだと思う。

ただ、この著者さんは比喩があまり上手くないのかなと感じました。
話を解りやすくするために使われるべき比喩なのに、逆に混乱する人がいるかも知れません。
私は「魚」のところを字面どおりに素直に読み過ぎたせいか、少し混乱しましたw

この本についての書評を読むと「いちいちこんな面倒な読み方できるか!」という方向の感想が散見されます。
私もそう思います。
しかし、それはいきなり全部を実践しようとするからです。
ステップが5つに分かれているなら、強度を5段階に調節できるトレーニング器具とでも思って、どれかひとつ(強度1)からやっていけばいいんじゃないでしょうかね。
順番も、必ずしもSTEP 1からでなくてもいいと思います。
個人的には、オーソドックスにSTEP 3の「整理読み」からやってみるのがオススメです。

 

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